昨日、第45回ブロードバンド特別講演会で「フィジカルAI」に関する講演を聞きました。約3時間20分にわたる内容でしたが、多くの登壇者の話は非常に興味深いものでした。
まず、経済産業省の藤木事務次官から、フィジカルAIを国家成長戦略としてどう位置づけるかについて説明がありました。しかし正直な印象としては、この程度の取り組みでアメリカや中国に勝てるとは思えませんでした。
日本は小さな国だからこそ、本来は国が前面に立ち、強い覚悟を持って戦う必要があります。日本の産業衰退の要因は企業側にもありますが、大きくは政治や官僚の「決断力と戦略不足」にあると感じました。
一方、世界に目を向けると、スペースXは上場によって約12兆円を調達し、企業価値は400兆円規模とも言われています。さらに今後はOpenAIをはじめ、多くのスタートアップが上場し、世界中の資金を集めていきます。
日本にお金がないのではなく、「世界の資金を集める発想と仕組み」が不足しているのが本質だと感じます。
フィジカルAI導入の現実(工場への展開)
私は、5年以内にヒューマノイドロボットが工場で普通に使われるのではないかと考えていましたが、今回の講演から見ると、そこまで単純ではないことが分かりました。
導入には次のような段階が必要です。
① DX(デジタル化)の徹底
まず、現場の業務をデータとして蓄積する必要があります。
仕事をデジタルデータに変換し、AIが扱える状態にすることが前提です。
② 通信環境とエッジコンピューティングの整備
工場内のネットワーク強化に加え、現場で処理するAI基盤(エッジ環境)が必要になります。
実際に日立では、イギリスの鉄道網をデジタル化するために、車両にAIサーバー(NVIDIA GPU搭載)を積んで走らせ、データ収集と解析を行っているそうです。
つまり将来の工場には「現場にAIサーバーがある状態」が必須になります。
③ その上でロボット導入
このような基盤を整えた後にロボットを導入することで、初めて大幅な生産性向上が可能になります。
ロボットの未来像
今後のポイントとして考えさせられたのは次の点です。
- 本当に二足歩行のヒューマノイドが必要なのか
- 誰がロボットを作るのか
- ロボットは標準化され「部品の組み合わせ」で作れるようになるのではないか
例えば電気自動車やPCのように、基本パーツが共通化されれば、将来的には企業や個人が「自分仕様のロボット」を作る時代になる可能性もあります。
講演の中で、「フィジカルAIはPCにおける“マウス”のような存在になる」という発言がありました。
つまり、人間とデジタル世界をつなぐ“インターフェース”として当たり前の存在になる、という意味だと感じました。
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