先週、昨年まで5,000人以上の従業員を抱える企業の役員であった友人が、この春から従業員数100人の会社の社長に就任したため、激励を兼ねて会いに行きました。その友人との会話で、興味深い話が2つ出たので、今回はその1つを紹介します。
それは、大企業と中小企業の社員の働き方には大きな違いがあると期待していたところ、意外な発見があったというものです。
入社前に考えていたこと
1.仕事の範囲について
中小企業では、仕事の進め方が大企業とは異なります。大企業は人員が多いため、部署や担当が分かれており、専門的な業務に専念できるのに対し、中小企業では限られた人員で多岐にわたる業務をこなす必要があり、複数の仕事を同時に進めることが求められます。例えば、経理をしながら人事業務も行うなど、多様なスキルと知識が必要とされます。
このような働き方には、メリットとデメリットが存在します。メリットとしては、多くの経験を積む機会があること、自らの判断で業務を進める自由があること、会社の全体像や状況を理解しやすいことが挙げられます。一方で、デメリットには、業務の負荷が重いこと、専門性が薄れる可能性があること、作業効率が下がることが含まれます。
2.仕事のスピードについて
従来の大企業では、仕事の進行が遅い傾向にありました。これは、多数の人々による決裁や承認プロセスが原因です。さらに、部署間での連携や調整にも時間を要していました。一方で、中小企業では仕事の進行が速いです。これは、決裁や承認が限られた人々によって行われ、部署間の連携や調整も迅速に進むためです。
大企業では、仕事の責任は分散されています。たとえば、製品に不具合が生じた場合、開発部、製造部、品質管理部、営業部など関連する各部門がそれぞれの責任を担います。一方、中小企業では、仕事の責任が一点に集中することが多いです。同じ製品の不具合が生じた場合、担当者や部長が全責任を負うことになります。また、顧客のクレームや要望に対しても、直接対応することが求められることがあります。
以上のようなことを想像して入社して驚いた。
ところが入社した会社の実態は?
入社してすぐに感じたのは、この100人に満たない会社の組織と社員の考え方が大企業と全く変わらなかったことです。大企業と同様に区分された組織であり、社員間のセクショナリズムも非常に強いです。規模が小さいため、様々な歪みが顕著に現れています。
(1)各部門の長は会社全体を見ず、自部門の充実のみを追求し、社員の忙しさを理由に増員を要求するばかりです(創意工夫がない)。
(2)組織が細分化されているため、一つのチームの人数が少なく、常に手薄な部署と忙しい部署が存在します。
(3)各部署の部課長は長年在籍しており、自らの持論を押し通すため、他部署との連携が取れていません。
(4)部門長は自己主張が強く、部下の意見を聞かずに屈服させようとします。本人は自覚していません。
その結果、部下もそれに慣れ、自発的に行動せず、常に上司の指示を待っています。
この状態を現在改善するために奮闘中だそうです。
今まで勤務していた企業ならば、このような部門長を更迭し若手に切り替えるのですが、なにせ人が少ないので代わりがいない。(ここだけは中小企業)
どうしたらいいのか現在悩んでいるとのこと。
この話を聞き、当社と同じだと感じました。もっと言えば日本中の中小企業が抱えている問題なのかもと感じました。
そこで私が考えた中小企業の課題
①仕事の負担が大きいことに対応できるか
中小企業では、仕事の負担が大きいことが多いです。いくつもの仕事を掛け持ちしながら進める必要があります。また、仕事の優先順位や進捗状況を自分で管理する必要があります。仕事の負担が大きいことに対応できるかどうかは、中小企業で働く上での重要なポイントです。
②専門性を維持できるか
中小企業では、専門性を維持できるかどうかも重要です。仕事の範囲が広いことは、幅広い経験を積むことができるメリットですが、一方で、専門性が低くなるデメリットもあります。専門性を維持するためには、自分で勉強したり、研修やセミナーに参加したりする必要があります。
③コミュニケーションを取れるか
中小企業では、コミュニケーションを取れるかどうかも重要です。仕事のスピードが速いことは、迅速に対応できるメリットですが、一方で、情報伝達や報告が不十分になるデメリットもあります。コミュニケーションを取るためには、上司や同僚との関係を良好に保ったり、定期的にミーティングやフィードバックを行ったりする必要があります。
④仕事のバランスを見つける
中小企業では、仕事のバランスを見つけることが大切です。仕事の範囲が広いことは、自分の裁量で仕事を進めることができるメリットですが、一方で、仕事の効率が悪くなるデメリットもあります。仕事のバランスを見つけるためには、仕事の優先順位や目標を明確にしたり、仕事の計画やスケジュールを立てたりする必要があります。
⑤仕事の成果を見える化する
中小企業では、仕事の成果を見える化することが大切です。仕事の責任が集中することは、自分の仕事の価値を高めることができるメリットですが、一方で、仕事の評価が曖昧になるデメリットもあります。仕事の成果を見える化するためには、仕事の成果や効果を数値化したり、文書化したりする必要があります。
⑥仕事の楽しみを見つける
中小企業では、仕事の楽しみを見つけることが大切です。仕事のスピードが速いことは、会社全体の流れや状況を把握しやすいメリットですが、一方で、仕事のストレスが高くなるデメリットもあります。仕事の楽しみを見つけるためには、仕事のやりがいや達成感を感じたり、仕事以外の趣味やリラックス法を持ったりする必要があります。
おわりに
友人の話では、多くの中小企業の社員がハウツー本を読んでそのまま真似をする傾向にあるとのことです。これらの本はしばしば大企業のモデルに基づいて書かれており、読者は無意識のうちに「こうあるべき」という考えに囚われがちです。その結果、実際の現場に適さない方法を正しいと信じ込んでしまうことがあります。結局のところ、自分の経験からその会社に合った仕事の仕方を見つけ出すことが重要だと言えるでしょう。
また、部下をダメにする上司についての話も伺いましたので、その話は近い将来にご紹介する予定です。
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