喫茶店が様変わり

先日、ふと思い出したことがあります。

今から約50年ほど前、池袋のロマンス通り入口の角に「紫煙」という喫茶店がありました。店内は薄暗く、入った瞬間にタバコの煙と独特の香りが漂ってきます。何色だったのか分からないほど年季の入ったソファに腰を下ろし、コーヒーを注文する。記憶では、サイフォンで丁寧に淹れていたように思います。

そこにいる学生たちは、文庫本を片手に缶ピースをくゆらせ、どこか気取った雰囲気をまとっていました。今思えば、それも時代の風景だったのでしょう。

それに比べると、最近の喫茶店はずいぶん様変わりしました。明るく開放的で、ガラス張りの店内は清潔感にあふれています。もちろんタバコの臭いもしません。

店内を見渡すと女性客が多く、昔のようなおじさんの姿はあまり見かけません。文庫本を読んでいる人も少なく、多くの人はスマートフォンを眺めています。その一方で、朝の時間帯には意外にもおじいさん、おばあさんの姿をよく目にします。

年を重ねたせいなのか、それとも単なるノスタルジーなのかもしれませんが、最近の喫茶店にはどうも心が惹かれません。

そういえば、10年以上前に旭川で入った昔ながらの喫茶店を思い出します。木の床は歩くたびにギシギシと音を立て、店主は気さくなおばちゃん。少し薄暗く、まるで穴倉のような落ち着く空間でした。おそらく今はもう営業していないのではないかと思います。

私としては、街のどこかに一軒くらい、そんな昔ながらの喫茶店が残っていてほしいものです。気取るわけでもなく、静かにコーヒーを飲みながら考え事ができるような場所です。

しかし考えてみると、様変わりした喫茶店とは対照的に、私たちの工場は今でもどこか昔の雰囲気を残しています。

もちろん、長年積み重ねてきた技術や職人気質は当社の強みです。ただ、時代が変わり、社会が変わり、お客様の求めるものも変わり続けています。その変化に合わせて、工場も少しずつ姿を変えていかなければならないのでしょう。

そして何より、変わるべきなのは工場だけではないのかもしれません。

もしかすると、一番様変わりしなければならないのは社長である私自身なのかもしれませんね。

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