全て一気に解決はできないけれど

「木を見て森を見ず」ということわざが示すように、社長としての仕事は会社全体を俯瞰し、最適な判断を下すことです。しかし、その森の状態を理解するためには、時には一本一本の木を見る必要があります。
この言葉は、現在の私の状況を表しています。
66歳になる今年、残された時間を考えると、結論を急ぎがちになります。
時間の重要性を痛感するので、焦りが生じます。
病んだ森を再生し、豊かな森にするためには、細部に目を向けざるを得ません。そうすると、全体を見失うことがあります。
企業における最大の課題は、社員が自分自身が病んでいることに気づいていないことです。これは多くの企業が直面する問題で、私たちの会社だけの問題ではありません。

結論は時間との競争ですが、「一つひとつ丁寧にやっていくしかありません。」幸いなことに、私たちの会社は大きな森ではありません。自分の足で歩き、自分の目で見ることができる範囲の森が、ここにはあります。
この年齢になっても、社員からの批判を多く受けることがありますが、批判を受けることは幸せなことかもしれません。当社が長年抱える課題のいくつかは、「子供たちの夏休みの宿題のように」8月31日までに解決策を決定し、最も需要の高い下期に向けてスタートできるようにしたいと思います。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へ
ブログ村のランキングに参加しています。よろしければこちらのボタンをクリックお願いします。

7月1日の就職希望高校生の解禁日を迎えて

7月1日から高校の求人申込みや学校訪問が始まりました。今年も私は採用責任者と共に多くの高校を訪問致しました。しかし新型コロナ感染症が収まってから大手企業の旺盛な採用は激化し、中小企業としての人材獲得は難しくなっています。

企業、社会、学校が急激な大きな変化の波に放浪されている中、現在の就職活動の在り方に疑問を感じます。熊本ではTSMCの工場新設に伴い大卒の初任給が28万円と明らかに横並びの発想ではありません。この波は確実に日本社会を変えます。そう考えると同じようなスケジュールや学校の対応に私は違和感を覚えます。
この慣習は過度な企業間競争を避けるためというより、恐らく学校側の負担軽減が主な要因ではないかと考えます。誰のための就職活動なのか本来の原点に立つべきではないでしょうか?
更に言えば学校側つまり先生が就職活動を担う必要があるのか?

外資系企業との競争の中、早かれ遅かれ日本の大手企業も人材確保の為に今までのルールを変えるでしょう。これは学校の就職担当の教職員にも大きな変化をもたらし、恐らく外部の企業への委託という新たな手法が始まると思います。なぜならこのような大きな変化に対応できる職員はいないし彼らもそれを望まないでしょう。

企業が求める人材を育成するのが学校の役割なのかという単純な疑問が生まれます。とは言いながら生徒というより親の要望を考えると仕方ないのかもしれません。
明らかに現在の就職活動スキームは生徒も企業においても最適なものではありません。
それでも当社でも新卒の若い社員を今後も確保していかなければなりません。
製造装置を使い製品作りを担う人材、新たな革新的な製品開発を担う人材、営業を担う人材、経営を担う人材と必要な人材は大企業と変わりません。ただし人員確保にも限度があり、この複数の役割を重複して担える人材が必要なのです。
もしかすると大手企業が求める以上の能力を持った人材を必要としているのです。この相矛盾する課題解決が必要です。
そう考えると今迄の横並びの給与や福利厚生など根本的な見直しが必要な時がきたのかもしれません。

つまり当社の仕事を多くの生徒に知って興味を持ってもらうため、小学生、中学生に体験してもらう機会を数多く作り、地域社会に知られ信頼され、憧れられる企業作りが必要なのかもしれません。

松下幸之助が企業は人作りという言葉を残しています。

学校に頼るのではなく、企業として望む能力のある生徒とはどの様なものなのか
具体的に提示する必要があります。

今までは計算、文章作り、記憶力などの高い人材が評価されてきましたが、昨今のAI技術は目が悪い人がメガネをかけるか如く、これまで高い評価をしていた能力を補完してくます。私たちはこのAI技術を最大限に活用し、新たな基準でのより良い人材確保を目指す必要がある様です。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へ
ブログ村のランキングに参加しています。よろしければこちらのボタンをクリックお願いします。

社長のワガママと勝手

6年半前に当社の社長に就任しました。自分が目指す会社のビジョンを持ちながら日々仕事をしています。しかし、自分の思いを全従業員に共有する努力が不足しているのか、時間は無駄に過ぎていきます。 そのような状況の中で、社内で繰り返される同じ問題に対して「どうして解決できないのか」と思ってしまいます。 今週は社内で起こった二つの問題が強く印象に残っています。

 一つは当社の常習的な過剰在庫の問題です。原因を探るためにベテラン社員2名に話を聞きました。理論的には簡単な問題のように思えましたが、なぜ改善されないのか不思議に思いました。しかし、話を聞いているうちに、過去の社長方針の影響から染み付いた営業スタイルから変化できない社員の姿が見えてきました。長く働くベテラン社員だからこそ自己否定が出来ない深い呪縛があるようです。

もう一つは「社長の話が頭に入ってこない」という言葉でした。当社が抱える多くの課題に対応するために、私は次から次へと多くの情報を発信してきたのかもしれません。社員が自分のペースで消化できるように、そして興味を持ってもらえるように、情報を分割し、味付けをすることが大切なのでしょう。
特にベテラン社員や他社で長く働いた転職組は過去の成功体験、プライドが彼らを支えていることも事実です。これが新たな事業展開、会社の発展に最も障害となることを彼らは知りません。だからこそ知らず知らずに彼らの心に入る工夫が必要なんでしょう。

この二つのトピックスから「社長のワガママと勝手」という表題を思いつきました。社長は自分が実現したい世界を社員に強要します。それは社長の都合のいい話です。もちろん、それを実現したいという気持ちは本物ですし、それが社員のためにもなると信じています。でも、どう言い訳をしたところで、社長の行動にはワガママな側面があります。だからこそ、社員が安心して働きできる限りの収入が得られる会社を作る責任が社長にはあるのです。

今一度、一人ひとりの社員の性格や能力に合わせて情報を発信しなければ、単なる無責任な社長のワガママになってしまうのでしょう。

そして社長の望みと社員の望みが数多く重なる会社を実現して次のリーダーにバトンを渡すことが私の最大のミッションなのかもしれません。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へ
ブログ村のランキングに参加しています。よろしければこちらのボタンをクリックお願いします。

人件費ケチは時代遅れ

今朝、日経新聞の一面に掲載された記事によると、「賃上げが景気回復につながらない」という見解が示された1996年の不況期に日本郵船の元会長である根元氏が日経連会長として賃上げの停止を主張し、雇用を優先する考え方が蔓延した日本社会。結果その後の賃上げの停滞を引き起こし、日本の給与水準が先進国の中で低下しました。
それから約30年後、日本郵船は18%の賃上げを実施しました。同社の曽我社長は「人件費を成長投資と考える」と述べています。

賃上げを実施した企業の業績向上が目立つデータがあるとのことです。これが業績向上による賃上げなのか、賃上げが従業員のモチベーションを高める結果なのか、あるいは高額給与によって優秀な人材を確保できた結果なのかはまだ明らかではありませんが、少なくとも新聞メディアはこの傾向を報じる風潮があります。

高収入の代名詞として、キーエンスはよく知られています。2023年度のキーエンス社員の平均給与は2,279万円で、総収入の50%が賞与であると言われています。賞与は年に4回支給され、これは社員に常に業績を実感してもらうためです。
さらに、キーエンスでは部門評価に基づいて給与が決定され、成果が出ない社員はチーム全体で育成されるとのことです。

このような記事を読みながら、昨日は私たちの会社でも夏の賞与支給日でした。
多くの中小企業の経営者も、できれば大企業のような賞与を社員に支払いたいと思っているでしょう。それを実現するためには、経営者を甘やかさず、厳しくする必要があるかもしれません。社員も望む給与を得るためには転職を考えるべきかもしれません。優秀な経営者の下であれば、それが可能になるはずです。能力のない経営者は淘汰されるべきでしょう。
もし本当に社員に多くの賞与を支払いたいという気持ちがあるなら、弱音を吐くのではなく、それを実現することが経営者の役割です。

現在、厚生労働省は今年度の最低賃金の決定に向けて最終段階にあります。私たちが考えるべきは、一律の賃上げではなく、優秀な社員を確保し企業成長を目指すために、経営者は国が定める最低賃金にとらわれず、賃上げを断行すべきだと思います。

経営者は自らに厳しく、社員も成果を上げるために厳しく働き、その結果として企業が成長し、社員に利益を分配する仕組みが必要だと考えます。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へ
ブログ村のランキングに参加しています。よろしければこちらのボタンをクリックお願いします。