社長のワガママと勝手

6年半前に当社の社長に就任しました。自分が目指す会社のビジョンを持ちながら日々仕事をしています。しかし、自分の思いを全従業員に共有する努力が不足しているのか、時間は無駄に過ぎていきます。 そのような状況の中で、社内で繰り返される同じ問題に対して「どうして解決できないのか」と思ってしまいます。 今週は社内で起こった二つの問題が強く印象に残っています。

 一つは当社の常習的な過剰在庫の問題です。原因を探るためにベテラン社員2名に話を聞きました。理論的には簡単な問題のように思えましたが、なぜ改善されないのか不思議に思いました。しかし、話を聞いているうちに、過去の社長方針の影響から染み付いた営業スタイルから変化できない社員の姿が見えてきました。長く働くベテラン社員だからこそ自己否定が出来ない深い呪縛があるようです。

もう一つは「社長の話が頭に入ってこない」という言葉でした。当社が抱える多くの課題に対応するために、私は次から次へと多くの情報を発信してきたのかもしれません。社員が自分のペースで消化できるように、そして興味を持ってもらえるように、情報を分割し、味付けをすることが大切なのでしょう。
特にベテラン社員や他社で長く働いた転職組は過去の成功体験、プライドが彼らを支えていることも事実です。これが新たな事業展開、会社の発展に最も障害となることを彼らは知りません。だからこそ知らず知らずに彼らの心に入る工夫が必要なんでしょう。

この二つのトピックスから「社長のワガママと勝手」という表題を思いつきました。社長は自分が実現したい世界を社員に強要します。それは社長の都合のいい話です。もちろん、それを実現したいという気持ちは本物ですし、それが社員のためにもなると信じています。でも、どう言い訳をしたところで、社長の行動にはワガママな側面があります。だからこそ、社員が安心して働きできる限りの収入が得られる会社を作る責任が社長にはあるのです。

今一度、一人ひとりの社員の性格や能力に合わせて情報を発信しなければ、単なる無責任な社長のワガママになってしまうのでしょう。

そして社長の望みと社員の望みが数多く重なる会社を実現して次のリーダーにバトンを渡すことが私の最大のミッションなのかもしれません。

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