誰もが持っている倫理観と誇り

かなり昔の映画になりますが、トム・クルーズ主演の『A Few Good Men』という作品があります。

物語は、アメリカ海兵隊の基地で起きた事件をめぐる裁判です。ある隊員が規律を乱したとされ、上官の命令によって2名の隊員が制裁を加えます。しかし、その隊員はその後、命を落としてしまいます。制裁を実行した2名の隊員は裁判にかけられ、その弁護士をトム・クルーズが演じています。裁判の中で明らかになっていくのは、「命令だったから仕方がない」という考え方と、「人として守るべきものは何か」という問いです。軍隊という組織では、上官の命令に従うことがとても重く扱われます。しかし同時に、弱い立場の人を守るという大切な考え方もあります。結局、2名の隊員は殺人については無罪となりますが、軍人として守るべき規律に反したとして、不名誉除隊となります。彼らにとっては納得しがたい結果だったと思いますが、この場面はとても考えさせられます。本当に守るべきだったものは、命令そのものではなく、人としての正しさだったのではないかと思うのです。

この映画を思い出すのは、会社の中でも似たような場面があるからです。上司の指示だから、会社の方針だから、昔からそうしているから。そうした言葉の前で、自分の考えをいったん脇に置いてしまうことは、誰にでもあるのかもしれません。もちろん、組織で働く以上、指示やルールは大切です。勝手な判断ばかりでは、会社は成り立ちません。しかし、それでも最後に必要なのは、自分の頭で考えることだと思います。その行動は、本当に仲間のためになるのか。会社のためになるのか。お客様や取引先のためになるのか。そして何より、人として胸を張れることなのか。こうした問いを持ち続けることが、働くうえでとても大切なのではないでしょうか。私自身も、社員一人ひとりが自分の倫理観と誇りを大切にしながら働ける会社でありたいと思っています。そのためには、指示を出す側も、受ける側も、「本当にこれでよいのか」と考える余白を持つことが必要です。正しさを強く主張することよりも、相手の立場や周囲への影響を考えながら、より良い判断を探していく。その積み重ねが、会社を健全にし、社員を幸せにしていくのだと思います。誰もが心の中に、自分なりの倫理観と誇りを持っています。それを押し殺すのではなく、仕事の中で大切にできる会社でありたい。そんなことを、改めて考えさせられる映画でした。

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